はらはら落ちる秋の夢。

5時に鳴り出した目覚ましを消してすげえ腫れてそうな瞼をぐしぐし。
うろ覚えの般若心経を意味もなく呟きつつシャワー。目が覚めた気がしねえ。
ていうかDたちはまだ帰ってきてねえのか!こりゃヤったな。いきつくとこまでいってきたな。
ぼんやりミルクを飲んでいるとDとD友帰宅。うわ、へべれけだ。

「昨日の夜はファンタスティックだった」
「女が俺らを帰してくれなかった」
「奴が全部独り占めしてた」

とかまくし立てられても2割程度しか起きてない僕ではまともな受け答えもできず。
ベッドに潜りこんだのを見送ってから自分は外出。



朝景。爽やかじゃないのは俺だけ。

タクシーに乗って中央駅まで着き、チケットを買って特急で空港まで。
以前書いた通り、小学校時代の同級生が丁度スウェーデンに旅行に来るというので会いに。
何でまたこんな朝早くに着くのかしら、と乗客のいない車両でぼんやりと。
うっかり寝るのを防ぐためにジッタリンジンを結構な大音量で垂れ流す。
んー、早朝には似つかわしくないかも。かと言ってブルーハーツやら電波ソングってのもね。

10分ほど早く着いたのでやる事もなく、外でタバコ吸ったり珍しく喫茶コーナーに立ち寄ったり。
ま、飲むのはミルクなんだけど。とりあえず売り子さんは聞き返すな。あと変な顔すんな。

そんな風に時間を潰していると飛行機が到着らしい。
タイ経由で来ているのでなるほどそれっぽい人が多いわね。
そしてここで意識的に忘却という箱に閉じ込めておいた問題が顔を出す。

…いやさ、顔分かる自信ねえ。これっぽっちも。

最後に会ったのかれこれ5年以上前だもんなぁ。なんか凄い変わってたらどうしよう。
多分背は伸びてないと思うけどなーそういや友達と来るっつってたっけあれ友達って女の子なのか彼氏なのか。
ふと逆転の発想に辿り着いてぐるりを見渡す。自分と同い年くらいの東洋人が居ない事を確認。
よし、これで向こうが見つけるだろ。

と気楽に構えていたらあれー、ひょっとして、みたいな2人連れを発見。
でも思いっきり挨拶して知らない人だったら片眉剃り落とした挙句
飛騨の山奥に篭って夜叉猿に喰われるくらいのショックを受けそうなのでスルー。
ってたら向こうがこっちを見た。む、めっさ自信なさそうだ。うーん。

「あのー、スズムラやんなぁ?」

はいそうですよあーよかったー俺の勘は間違ってなかったー。

とりあえず友達のツレの人とも軽い挨拶をして、僕が来たのと同じ電車で市内まで。
5分後くらいに「そういえば久しぶり」という言葉を交わす。忘れてた。
で、電車の中で土産があるとの事。やあ有難い。何だろう何でしょう。



…えっと。

マッハ!!!!!!!!」「おぱんつ」「サムワン海王」「まいっちんぐ」等、
沢山の言の葉が秒で巡ったあと嬉しいので素直に喜んでおく。わーい。

んで、他愛もない話をしながらD宅まで。
日曜だと店は軒並み10時以降だという事なので、暫しここで待機。
…ってのも何なので、予め許可取っておいたのでシャワーでも浴びてきなさいと勧めてみる。
その間に紅茶でも入れてみたり。イチゴの匂いがする奴。まるで自分の家のような振る舞いだ。
つっても自分はあまり甘い匂いのする紅茶は好きじゃないんだけど。
後は土産のお返しと言っちゃなんだがバームクーヘンを叩きつける。

二人とも浴び終わったところでまだ9時台だったのでDを起こすのも忍びない。
なので海沿いを軽く散歩する事に。んー、すがすがしー。酒が残ってなきゃな。
カモメ見たりセブンイレブン見つけながらだらだらと歩く。
しかし結構長い付き合いではあるものの、間が空き過ぎてて特にどうという話もなし。
小3まで一緒でハタチくらいん時に一回会ってそれからはmixiで繋がりがかろうじてあるくらい。
女の子同士だったら違うんかもね、とか益体もない事をぼんやり思ったり。
ああいや、つまらんとかじゃないんだけど、んー、微妙だ。

ぶらぶら20分ばかしも歩いた頃、起き出したらしいDから電話。ちょいとして戻る旨を告げる。
帰る途中でちょっと珍しいお店を見つける。
ええと何ていうのか、ムチウチの時に首に巻くやつとか、膝壊した時にサポートとして着けるやつの店。
前にも見たのでやっぱ福祉国家かしらん、と思ってると、

「ソウグのお店だね」

「だねー」

ソウグ?装具って書くのだろうか。
尋ねてみるとやっぱそうらしい。そっかー、こういうの装具って言うのか。
流石に二人とも看護婦、あれ今は看護士だっけともかく良く知ってるなぁ、と感心しながら帰宅。Dと面会。
ちなみに幼馴染は多分僕より英語もスペイン語もできるのでDとのやり取りも問題なし。
で、どこ行くよ何するよ、という話に。ここで二人が取り出したのは地球の歩き方。おお、用意周到だ。

…って、何だこのアンダーラインの量は。何ヶ月滞在するつもりだおめえ。
とりあえず青空市場に行くという事になり、ぶらぶら歩いて広場まで。ここでD友が帰るとの事。お疲れっした。
どうも平日は食料品とかも売っているらしいのだけど、日曜なのでガラクタ市っぽい雰囲気。
昔の電話機を見たり封蝋を探したりでぐるぐる巡った後、旧市街へ向けて歩く。
ずーっと万国旗が飾ってある通りを抜けて橋を渡り、旧市街へ。
地図で見るとこの旧市街って丸ごと一つの島なんだね。ちなみに王宮なんかもココ。
Dは出身がストックホルムではない上、あんまり観光とかした事なかったそうな。
なので全員初めて。で、ガイドブックを見せてもらってぺらぺらめくってると丁度パレードがあるみたい。
ちょい時間があるのでとりあえず腹ごしらえーっつう事で広場でサンドイッチを食う。んま。

腹もくちくなったので王宮へ。前の広場で沢山人がカメラ構えてる。
暫く待っているとブンチャカ鳴らしながら一団が。



おー。



おおー。

様式美ってヤツだな!そうなのか?

人込みにまみれた後はチケット買って王宮内部をだらだら歩く。戴冠式やる場所とか色々。
象牙細工に見とれたり、壁の修復跡を眺めたり。古い建物はこういうのが好きだ。
しかし今の国王って王様っぽくねえなぁ。栃木の市役所の係長さんっぽい。
…いや、栃木の市役所の係長に知り合いはいないけどさ。

その後は宝物庫へ。うおー、細工細けー。ここまで駆り立てるモノを思うと背筋がクる。
あと、後ろで「ルパン三世」という単語がしきりに聞こえるのは何なんだ。
ひょっとして三姉妹だったりするのか。キャッツでアイか。レオタードはどうかと思う。
偶々英語でのガイドさんが居たので説明をちょっと聞いた後、退出。
適当にずるぺた歩いて喫茶店で一休み。坂多いなぁ。
それから何故か南米の人がやってるお土産屋さん見たり狭い路地を通ったりで王宮前の広場まで帰ってくる。
で、Dがちょいとお疲れらしいので先に家に帰ってるの事。
確かに今まで散々付き合ってもらってるしなぁ。てな訳で引き続きぶらぶら。
ていうか二人も朝から歩き詰めで大分疲れてるっぽそうなんだけど、折角なので見て回りたいってさ。
ま、無理しなきゃいーけど。

それから大聖堂で祈るふりしながらぐでーっとした後、
ノーベル博物館や遊覧船の話をしたら乗りたいとの事なので船着場まで行ったりしたのだけど
ことごとく営業時間後だそうで。んー、5時ってもうそんな時間なのか。

仕方ないので橋を通ってちっこい島をぐるりと歩いてみる。
丁度二人が泊まりたいと言ってたユースホステルがあるので途中で立ち寄ったり。
今回初めて知ったのだけど、世界ユースホステル協会みたいなのがあるんだね。
…というか、僕ってひょっとして下調べが致命的に足りない?頭悪い子?



それはそれとしてカモメかわいい。

てけてけと歩いた後、見晴らしのいい丘に上って一息。
ちょいと二人から離れてタバコを吸いながらぼんやりと。

…んー、何と言うか、人と接しすぎた。

まぁいいや、さっさと忘れてお酒飲みたい、という事で帰途。
帰りも歩くのめんどいのでバスを待ったはいいけど、
あっさり停留所通り過ぎられて結構遠いところで降ろされる。えー。

D宅に着く頃には二人とも結構疲れてたのでソファでうとうとしてる。そりゃあなぁ。
晩飯は近所のスウェーデンレストランへ。って、最初にシュナップスか。
空きっ腹にはこたえますな。でもうめー。えへへへ。
ミートボールにソースと昨日書いたクランベリーの酢漬け、あとはキュウリサラダを絡めて食う。
話題は何だっけ、スウェーデンと言えば福祉国家というイメージがあるけど、実際はそうでもなくて
税金払ってればタダで治療は受けられるけど年単位で待たなきゃいけないとか、
後はちらし寿司の説明をしたりとか、良くわかんねえ。多分俺がウザかった。
他の人たちの分のビール飲んでたし。

帰って二人は眠気限界だったので即寝かす。
それからDと飲みながら話。つっても飲んでるのは僕だけだけど。
初日に出てきたABSOLUTのバニラ味を飲みながらだらだら話して夜も更けたので寝。
目覚ましをセットしたのは僕にしてはよくやった。



夜景。

コスモスをわたしから。